本人はとても真面目で頑張り屋なのですが、私が家庭教師を始めた頃は、なかなか結果に結びつけることが出来ておらず、勉強に対しての意欲が下りつつある状態でした。
実際指導を始めてみると、理解力が悪いわけではないんですが、テストの点数は、20~30点台で平均の半分ぐらいでした。学校のテストをみせてもらうとテスト用紙の後半部分は真っ白です。
結果的に問題の半分以上が残っている状態でタイムアップ。これではいつまで経っても点数は上がりません。
一問でも多く時間内に解答するために、計算問題の解答スピードを早くするコツは、たくさんの計算問題を何回も練習し続けることです。
数字は大きくなっても、最初は1桁の計算からでも構わないので、とにかく毎日何度も練習し、数字に慣れてもらいました。頭で考えるのではなく自然に手が動くようになることが一番良い方法です。
そこで計算ドリルを毎日必ず2ページずつしてもらうことにしました。内容的には足し算・引き算といった本当に簡単なものから始めてもらいました。
中2で足し算・引き算は嫌がるかなぁと少し心配していたのですが、計算が苦手だといっても1桁の足し算・引き算を間違うことはあまりありませんから、「正解ばっかりやったらやる気もでるわぁ」と熱心に取り組んでくれました。
最初は時間の制限を設けずにひたすら解いてもらい、全問正解が続き本人の苦手意識が薄れてきたところで、時間の制限をつけてみました。
最初は余裕をもって設定し、徐々に短くしていきました。もちろん、テストになれるためにまずテスト形式で問題を解いてもらってから、解説をするというスタイルで授業を進めました。
分からない問題は一旦飛ばしてまずは自分に出来そうな問題から解答すること、見直しは、時間を決めて最後にまとめてすること(例えばテスト終了10分前など)を、しつこく言いました。
そして、60時間続けた後の期末テスト・・・
テスト後初めての指導の日、開始の時間に家の前につくとピンポンを鳴らす前に玄関が開き、その子が飛び出てきました。
「先生、中学に入ってから、初めて数学のテストを後半まで解いた!」と満面の笑みを浮かべて嬉しそうに報告してくれました。
その日の指導中は、数学のテスト中の話をたくさんしてくれました。そして返ってきたテストは、平均程度の43点。
決して良い点数というわけではないけれど、一生懸命やったことが結果に少しでもあらわれたことを「今までで一番できた。私でもやったらちょっとはできるんやなぁ」と本人がすごく喜んでいました。
もちろん、その後も計算ドリルは続けてもらっています。
勉強を教えるということが、ただ問題の答えを教えるだけではなく、「生徒の現状を確認しながら、その生徒に一番必要なことを一緒に考えて指導を進めていくことが大切だ」ということを示す一つの例だと思います。